京セラ名誉会長で、第二電電最高顧問、日本航空名誉会長の稲盛和夫さんが京セラを世界一の会社にしようと、経営哲学を社員に説明した本があります。「京セラフィロソフィ」という題です。

 その中に《人生方程式》という考え方が出てきます。人生や仕事の結果を導き出す、人間の行動要素の関係性を式に表したものです。

「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」

 掛け算です。各要素のところには、自分で数字を入れます。「考え方」はマイナス100からプラス100の間の数、「熱意」と「能力」はゼロからプラス100までの数を入れます。その結果、自分の人生や仕事の成果が、プラス100万とマイナス100万の間で出てくることになります。

 能力が優秀でプラス80、懸命に努力するので熱意もプラス90、すごいやり手だとしても、考え方が後ろ向きでマイナス10だったりすると、人生や仕事の結果はプラスどころかものすごく悲惨な、マイナス72000といったものになってしまいます。

 一方、能力はあまり高くなくてプラス30、それほどモーレツでもないので熱意もプラス20程度の人であっても、明るく前向きなので考え方がプラス10であったとしたら、人生の成果はプラス6000になります。

 稲盛氏が、考え方のものさしにプラス100からマイナス100までのメモリを刻んだわけは、いくら能力や熱意がいっぱいあっても、人を傷つけたい、他者を不幸にしてもかまわないといった考え方が強かったら、その人の人生も仕事も、大きな目で見たら、非常なマイナス、悲惨な結果に終わるということを示したかったのではないでしょうか。

 稲盛氏の経営哲学や手法を学んで、自分の企業の業績を上げ、従業員と共に幸福をつかもうという人たちはたくさんいます。しかしこの「人生方程式」。理屈は分かっても、なかなか実際行動には結びつかない人もいるのではないでしょうか。

 稲盛氏は、人生方程式は実行してこそ意味があるとして、実践を強く勧めています。人生や仕事でいい結果を出すには、プラスの考え方が何よりも大切だとして、プラスの考え方をしてプラスの成果を得ることができるよう、きめ細かに案内しています。

 どういう「考え方」がプラスで、何がマイナスか。稲盛氏はプラスのものとして、常に前向きで建設的であること、みんなと一緒に仕事をしようと考える協調性を持っていること、明るいこと、感謝の心を持っていること-などを挙げます。

 マイナスのものでは、後ろ向き、否定的、非協調的、暗く、悪意に満ちて、意地が悪く、他人を陥れようとする、ふまじめで、嘘つき…などを挙げています。

 こうした要素がいくつ自分に当てはまるかをチェックして、差し引きすると自分の「考え方」のプラス度、マイナス度が分かるといいます。

 その上で、「どんな考え方を持つのも自由だが、その自由の中で自分がどのような考え方を選択するかによって、自らの人生、運命が決まってしまう。そこまで分かっている人がどれだけいるか」と強く念を押しています。

 振り返ってみれば、誰しも、会社への不足やグチ、自分だけが楽をしたい、あの人には意地悪をしたくなる、といった後ろ向きの、マイナスの要素を持っているものです。そのマイナスに流されず、その日その日で前向きになったり後ろ向きになったりする考え方を、明るく前向きに維持するのはなかなか難しいことです。

 そんなとき、稲盛氏の勧めるプラス要素を楽に身に付けて維持していける道はないものでしょうか。あんまりキレイごとを言われても、と反発する気持ちが弱まって、ちょっとやってみようかと、ストレスフリーでプラスの「考え方」を実践していけたら、こんなうれしいことはありません。

 実は、そんな夢みたいなことを考えて実現した人が、米国にいました。ウィリアム・グラッサー博士、精神科医です。彼は、人間の考え方と脳の働きの関係に着目して、人間の心の奥に眠っている自己実現や「人に認められたい」「本当はこうしたい」といった本音の世界に働きかけ、「人に認められたい」「幸せになりたい」といった欲求を軸にさまざまな自己選択を重ねてもらうことで、自ら進んでプラスの「考え方」を体得、よりよい人間関係が構築できて、家庭、仕事、学業で大きな果実を得られるようにしました。

 彼は「選択理論心理学」という形で、その手法と理論を一般公開しました。今、世界各地でその実践と探求が行われています。

 選択理論心理学は、稲盛氏同様、「心の持ち方」を非常に重視しています。例えば、人間関係にプラス効果を与える行動と、マイナス効果を生む行動を7つずつ示して、傾聴する、支援する、励ます、尊敬する-といった行動がプラス作用を生み、批判する、責める、文句を言うガミガミ言う-などの行動はマイナスに作用すると指摘しています。この点、稲盛氏の考え方と重なり合うところがあります。

 グラッサー博士は、各人の中に眠っている「幸せになりたい欲求」「人に認められたい欲求」「成功したい欲求」などを活性化しながら、どちらを選ぶかはあなたの自由であなたに任されているのですと語りかけながら、人が自ら進んで他人も自分もプラスになるふるまいを選び取って行動するということを実現したのです。人は、「幸せになりたい」という根本的欲求を呼びさまされて、人生や仕事の成功という果実をつかんだのです。

 このように、選択理論心理学は、稲盛氏の《人生方程式》「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」と響き合うところが多々あります。

《人生方程式》から、豊かなプラス結果の解をスムーズに導き出す上で、選択理論心理学はまたとない導き手となるでしょう。

一度、選択理論心理学を体感されてみてはいかがでしょうか。

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