人は、基本的に、他人から指示されたり、命令されると、なかなか素直に聞きたくなくなるものです。子供は叱られても、親の言うことや指示に従わないことがままあります。

 会社の従業員も、頭ごなしに上司から叱られたりすると、仕方なし注意は聞きますが、本心から従うことなく、従ったようなポーズをとったりもします。

それくらい、他人の言うことに耳を傾けにくいのが人間なのです。だから、さまざまな思いを持った人が働く会社では、自分の思うように他人を動かすのは至難の技でもあるのです。

 だからといって、会社では指示に従ってもらわなければ困ります。経営者は幹部に、幹部は部下に、上司は社員に、会社の目標達成という目標に向かってしっかりと働いてもらわなければなりません。

そこで会社は、営業成績がボーナスや給料に露骨に反映する賃金体系をつくったり、歩合制にしたり、怒鳴り散らして目標達成へと鞭をたたいて目標達成を目指すことになります。

そうした叱咤激励や歩合制を喜んで、奮励努力する人は確かにいます。しかしその一方、指導を面白く思わず、外から強制されていると感じて心を病んだり、一生懸命働いているふりや、目標達成できない言い訳をしたり、上司へのグチばかりを言う人を生み出します。こうしたグチや不足が増えると、会社の活力は著しく低下します。

 では、会社の活力を上げるにはどうしたらいいのでしょうか。

 まず、多くの人が、喜んで働ける環境をつくることが出発点です。給料や報酬を上げるのも活力を上げる手法の一つではありますが、原資がいる点など、会社によっては、なかなかスムーズに実施しにくい側面があるでしょう。

そこで、お金がなくても、活力を上げる一つの方法があります。これは、米国や日本で実践して成功した手法です。うそではありません。

どんな手法かといいますと、上司が部下を叱咤激励する方向での職場運営をやめることです。そんなことをしていたら、みんなサボって業績が下がってしまうという反論が湧いてくるかもしれません。

 ですが、叱咤激励を辞めた企業で、実際に業績が上がったのです。

ただ叱咤激励をやめただけではありません。上司が、従業員一人ひとりに、どういうふうに働きたいか、お客様にどんなふうに喜んでもらいたいか、将来どんなふうになっていきたいかを聞いたのです。

人は自分の言い分を聞いてもらうと、聞いてくれた人に信頼を寄せるようになるものです。これが人間心理の自然な流れ、法則です。

 上司は、親身になって従業員の話に耳を傾け、どうしたら働きがいが生まれるか、その人の将来の夢が実現するか、一緒になって考え、その筋道が会社の仕事を通して実現しないかと、一緒になって心を砕き、可能な限りその人の夢がかなうように工夫をするのです。

みんながみんな、夢をかなえられません。でも、100歩の道の10歩でも、上司が自分のために尽力してくれたと分かると、従業員は、部下はその10歩の世界で精いっぱい努力するようになります。

そんなうまいこといくものか、という声が聞こえてきそうですが、実はそんなうまいことが実際に起こるのです。

 人は自分の夢が実現しそうになると、一生懸命工夫をして、一生懸命実践をするのです。これも心理学が解明した人間心理の真理です。

幻想や口約束でなく、可能な限り従業員の言い分に親身になって耳を傾け、真心を込めてその言い分の実現に努力する上司や経営者の姿は、社員のやる気と活力と工夫と真心を活性化します。つまり会社が活性化して営業実績が向上していく道に自然と入っていくのです。

上司としての沽券(こけん)もあるでしょう。しかし、会社の空気を「沈滞」から「元気」「明朗」「活発」に転換できるとしたら、「沽券」を捨てるのは簡単なことではないでしょうか。

 経営者だって、上司だって、従業員の反発ばかりがとげとげしく突き刺さってくる職場に毎日出勤するよりは、明るい「おはようございます」、本心からの「ありがとうございます」がこだまする職場に出勤するほうが楽しいはずです。

しかも、その明るく楽しい職場が、かつて叱咤激励していた時期よりも高い営業実績を達成することになるのですから、言うことありません。

 人間は叱られると気持ちも意欲も減退します。自分を理解してもらって、認められ、親身になって励まされると、意欲や活力がどんどん活性化していきます。これも心理学者が確かめた真理です。

こうした人間心理の真実から見ると、人間の心を外からの「命令」「恐れ」「甘い報酬」でコントロールしようとすることは、コントロールされる側の人間の心をゆがめ、萎縮させて、その人が持っている力を弱めてしまうのです。

 外から言うことを聞かせるコントロール手法でなく、その人の心の中に眠っている願望や夢や生きがいの炎、その人の内から燃え上がる意欲に焦点をあて、自然と内側から動きたくなることを支援する手法を一緒になって培っていくならば、人はどんどん前へ前へと自分を押し出していく活性化するのです。 

叱咤激励で「俺の言うことを聞け」といったマネジメント手法は、親分ばかりが偉ぶる「ボス・マネジメント」だと言えます。

 一方、従業員の心に寄り添ってその心を親身になって引き立てて職場の活力を高める手法は「穏やかに導いてリードする」、「リードマネジメント」だと言うことができます。

epiでは、そこにストレス理論を融合して「チョイスクオリティ(上質を目指す)マネジメント」とよんでいます。

経済も雇用も給与も物価もまだまだ厳しさが続く時代。企業はサバイバルをかけて息が抜けません。

 それだからこそ、人間の本心からの活力を大切にする自然の理法に沿った「チョイスクオリティ(上質を目指す)マネジメント」に徹して、正真正銘の「全社一丸」を実現し、従業員の活力、企業の活力を最大限に発揮する道を選ぶべきではないでしょうか。

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