上司が「たくさん儲(もう)けて、給料もたくさんとってほしい」と願って、部下に「開発も営業もがんばれ!」と檄(げき)を飛ばしても、たくさんいる社員の中には、「もっとたくさん給料はもらいたいけど、これ以上がんばれない」と思う人がいるかもしれません。中には、心の底で「がんばるよりは、のんびりゆったりしたい」と思う社員がいるかもしれません。

上司と部下の思いがてんでバラバラでは、会社・団体の理念は立派であっても、その理念は十分な力を発揮しないでしょう。

では、「がんばるよりは、のんびりゆったりしたい」と思う部下に、「たくさん儲けてたくさん給料をとってもらいたい」という上司の思いを分かってもらって、がんばってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。

よくあるのは、「勤務評定」を飴(あめ)と鞭(むち)のように使って賃金や賞与に差をつけてノルマの達成を強制し、営業成績を向上させる方法です。しかしこれは、「昇進のチャンスだ。がんばろう」と前向きに取り組む部下には喜ばれますが、「いやいやさせられているのだから、ほどほどのところで十分だよ」と思っている部下の勤労意欲をさらに失わせることになりかねません。まして、高齢者介護や病弱な乳幼児を抱えた部下からは「がんばって働きたくてもがんばりきれないのに、何をいまさら」と反発を買いかねません。

そうした、「素直にがんばれない」思いや事情を抱えた部下が、心の底から「がんばって働きたい、一生懸命働きたい」という素直な気持ちになって働いてくれるようなそんな〝魔法〟はないのでしょうか。

実は、そんな魔法があるのです。その魔法の杖は、上司の声かけの姿勢そのものの中にあるのです。

上司のあなたにお尋ねします。あなたは、部下を激励するとき、心の中でひそかに「部下はがんばって当たり前」「家庭の事情を言うヤツは会社のお荷物だからやめてしまえ」「上司のワタシがこんなに部下のことを考えてるのに、何でわかってくれないんや」と思いながら「がんばってくれ」と言ってはいませんか。

たとえ言葉にしなくても上司のそうした思いは、表情やしぐさとなって部下に言葉以上に伝わってしまっているものです。これでは部下がそれぞれ持っている夢や願望、そして個別の事情をまったく無視したに近いものになってしまいます。

人間というものはやっかいなもので、自分の存在を無視されると、いくら相手がいいことを言ってくれていると分かっても、その人にはついていかないものです。自分の存在を認めてくれて、こちらの事情に思いやりを込めて接してくれる人のためならば、自分の事情や思いはひとまず脇に置いても、力を尽くしたくなるのが人間です。

これが、実に不思議な〝人間の心の働き〟です。人は、自分のことを大切に扱ってくれる人のために力を尽くすのです。その尽くす度合いが、上司の目から見て不十分であったとしても、人はそれぞれの困難な状況を工夫して、その人が出せる最善・最大の力を出そうとするものです。実に不思議な〝心の働き〟です。

上司の何が、部下のそうした〝心の働き〟を呼び覚ますのでしょうか。人間の心の底には、自分を信用して物事を任せてくれる人、自分をまっとうに評価してくれる人の恩には報いようという欲求が息づいて働いているからです。上司が部下を心から信頼し、温かく見守り導いていこうと温かなまなざしと言葉をむけるとき、部下は向上心や前向きに努力する気持ちをかき立てられるのです。

「営業実績を上げよう」と言う前に、「さまざまな事情と思いを抱えたこの部下と一緒になって、その思いと事情を受け入れて一緒に」という思いやりを込めて「営業実績を上げよう」と語りかけてください。部下の上司を見る目が変わります。上司と協力してやっていこうとする空気が部内に広がって行きます。

これは、うそでも夢物語でもありません。人間がだれしも脳の中に持っている「認められたい」という基本的な欲求が、部下の心を底の底から突き動かすので、この夢が現実となって立ち現れてくるのです。

営業実績向上の秘訣は、「叱咤激励」にあるのではありません。

部下一人一人の夢と個別な事情に上司が耳を傾け、笑顔で、それぞれの部下の夢をかなえよう、個別の事情を踏まえて十分に働ける機会をつくろうと努める上司の誠実な姿勢、部下を信用して心の底から部下の幸せを願い粉骨砕身努力する日々の生き方が、言葉を越えて部下の心を動かし、「この会社で働けてよかった」という思いに結晶して、社業の推進力を育てて、社業の発展につながっていくのです。

部下を信じ、部下の思いを伸ばし実現しようとする上司の姿勢こそが、部下の真心を活性化してスキルを向上させ、お客様を大切にする心をはぐくんで、会社を大きく豊かにしていくのです。部下が育つところには、会社の業績がついて向上していきます。

営業の数字が気にかかってしょうがない上司さん。部下の働きがい働く喜びを大切にして、部下の話に耳を傾けてください。上司の夢の押し付けではなく、上司と部下がともに語り合って夢の木を大きく多様に育ててください。

その実践はどうしたらいいのか。ボスが結論を部下に押し付けるボスマネジメントではない、部下の心の中の喜びを大切にしながら部下の夢の実現をリーダーがともに目指していく「チョイスクオリティマネジメント」が、様々な角度から実践方法を教えてくれます。

興味のある人は、アクセスしてみてください。経営推進と業績向上につながるさまざまなヒントと出合えることと思います。

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