たくさんの人が行動を起こすとき、行動の仕方を決めるのに、トップが独断で決めたり、主要なメンバーが話し合って決めたり、メンバー全員が自分の考えを述べてお互いの考えについて意見を言い合いながら決めたり、討論の後に採決をして多数派の考え方に決める-など、さまざまな方法で集団の目指す方向や行動内容を決めています。

ところが、人の考えは十人十色。
どんな決め方であっても、「自分の意見は決まったことと違うからなかなか積極的にはなりにくい」「自分が直接責任を負うわけではないから、ひとまずは後からついていこう」といった消極姿勢の人はいるでしょう。

逆に「今回の決定は自分の得意分野のことだから昇進のチャンスだ」「思い通りの結論になった。頑張らなくては!」と大いに力を注ぐ人もいるでしょう。

消極派と積極派の温度差が大きくなると、企業や団体など多くの人が働くことによって成り立つ集団は、行動方針を決定しても思ったようには成果が上がらない。多くの従業員が懸命に努力しているのに営業成績が芳しくない、といった事態に陥りかねません。

そんなとき、全員参加の行動目標・組織目標づくりのプロセスを導入して、社業のめざましい展開を勝ち得た企業、団体があります。行動決定や目標の達成には多くの手法がありますが、この企業と団体が取り入れたのは「ビジョンマップ」という手法でした。

「ビジョンマップ」とは、一言で言うと、理念をマッピングしたもので、この理念を具現化して、どのように幸せになるのか、会社のブランドや戦略が定義されます。

これを作成するプロセスが非常に重要で、従業員、幹部、経営者が、理念の具現化に必要なことを、また具現化して得られるもの、戦略など、自分の思うことやアイデアを自由に発言し、他人のアイデアを批判したり否定することなくプラス思考で論議を深め、どんなアイデアも排除することなく全てのアイデアを包含する形でビジョンに仕上げて、最終的に短い象徴的な言葉に結晶させていくグループワークです。

その際、非常に重要なのは、出てきた意見やアイデアを批判しないことです。自由なプラス指向の場は、前向きな意見が出やすい場です。前向きな意見が増えると、ミーティングの参加者はその声に感化されて、自分も無意識のうちに「いいこと」「良いこと」、つまり「理念に向かう」よいアイデアをどんどん出始めます。

自分が否定されない場での話し合いのプロセスは、メンバーの親近感を強め、出来上がった「ビジョンマップ」を「他人事」「押し付けられた目標」でなく、「自分がつくった目標」「自分が積極的に参加できる社業」としてイメージさせます。

そうしたマップだからこそ、つくった人たちは「目標達成への強い責任感」を共有して、さまざまな困難を柔軟な発想の工夫と、相互のチームワークで克服していけるのです。

3年前にビジョンマップをつくった京都の企業は、「マーケティング」「グローバル」を実現する戦略をマップに入れました。マップは、社内会議などの折に経営者、幹部、従業員が目にし、さまざまな事業局面で自分たちの基本指針となりました。

ビジョンマップづくりから3年、新しい商品や流通が生まれ、今春には世界的ブランド企業との共同開発が実現しています。ビジョンマップができた時には予想もできなかった展開が起こっているのです。

また「地域に、全国に、世界に発信する」というビジョンを3年前のマップづくりで掲げた北海道の学校法人。

当初、働く人たちの中には、内心「全国、ましてや世界などピンとこない」と思った人も少なくありません。しかし、海外での教育支援事業が今年、実現する運びになりました。「世界に発信する」道がついたわけです。
「全国に発信」の面でも今夏、ある全国大会でその団体の事業と成果が披露されることになりました。

多くの社員が「海外展開は社長の専権事項」と受け止めていた京都の企業は、3年前のビジョンマップづくりを契機に、今では、海外での事業展開を社員と共有し、支援するようになってきています。

自分と会社の未来予想図を仲間と一緒に自分が描く。仲間の熱気の中で、一人ひとりの作った未来予想図がもれなく重なり合い、一つの大きな「ビジョンマップ」が出来る。

その時、「私のビジョンマップ」はそのまま「みんなのビジョンマップ」となり、一人ひとりのマップは、大きなマップ、未来立体像を動かす血液になっているのです。しっかりと自分の思いの入った「みんなのビジョンマップ」だからこそ、マップの実現に向けて、一人ひとりの思考もまたプラスの行動となって大きく展開するようになるのです。

そしてその先には、3つの実例が示すように、従業員・顧客・会社・社会=みんなの幸せが待っているのです。

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