社会も企業も、時々刻々多くの課題に直面している。
 課題は複雑に絡み合って、同時進行で動いている。組織のトップである社長は、その課題一つひとつに改善・解決への糸口をつけ、示し、企業や組織を発展させる責任がある。

 組織の現状と課題を見つめる。将来の発展につながる展望を示す。そのために必要な具体的手立てをイメージする。取引先との関わりを維持改善する。従業員のやる気を引き出す。利益を向上させて事業を盛んにする。社会的責任を果たす。

 こうしたことを考えているトップの頭は24時間フル回転している。休むことがない。しかし、四六時中回転しているからといって、その対応や判断に誤りがあってはならない。えてして人間は、目前の課題に一生懸命になればなるほど、細部にこだわって大局的なところが見えなくなることがあるので厄介だ。

 トップの判断のゆがみは、会社や従業員の仕事と生活にたちどころに影響を与える。そうならないよう、トップは常にじっくりと大局を俯瞰して、発展につながる判断を的確に下さなければならない。

 常に的確な判断ができるようにと、時々は経営の現場を離れて、自然の中で自分の行動と会社や社会の状況をゆっくり見直す人がいる。

 自分の会社のことを離れて、異業種の経営者とさまざまなテーマについて語り合い、話に耳を傾ける人もいる。仕事とは直接関係のない文学書や、生き方をテーマにした本、さまざまな人の自叙伝をじっくり読む人もいる。

 中でもユニークなのは、他の企業の経営者と合宿をする人たちだ。グループ討議や役割劇、人間の心を活性化する心理学の理論を学習して、自分の日ごろの発言や行動のくせを見直し、行動を少し変えて、会社全体の活性化を手に入れている。

 グループ討議は、さまざまなテーマについて話す。全員が発言する。その際、人の発言を批判してはいけない。(これだけでも社長様としては大変な我慢だ!)。常にポジティブに話を展開する。(実は、普段、これがなかなかできていない?)。

 役割劇では、社長が部下の役を交替で務める。(部下のつらい気持ちがはじめて分かった!?)。指示する一方だった自分が、命令される側に回る。(なんて楽なんだ?)。

 自分の発想が常に尊重されていた状況が一変し、他人のアイデアが自分よりも尊重されたりする(自分の会社ではありえなかったな!)。自分が他人のアイデアを尊重している(こんなことが前にあっただろうか!?)。全員が心を一つにして共通の目標に向かって議論を積み上げる。(なんという快感!)。

 こうした生々しい体験は、社長さんたちの心に大きな気づきをもたらすようだ。

 いろいろな人と同じ平場で共通の良いもの、目標に向かって集中していく感覚を再発見する。批判でなく、盛り立てて協力してすることの効果を再認識する。

 普段とまったく違うポジションが、多様なバランス感覚とポジティブ思考を活性化させ、これまで自分の人生を覆っていた「一人で重責を担う社長の私」といった感覚から、「多くの従業員と一緒に豊かな会社を築いていく社長の私」に気持ちが大きくなっていくことを感じる。

 ある社長は、合宿でのグループ討議を通して、社長がアイデアを出して幹部や従業員が従うといった従来のコミュニケーションから、部下の間からアイデアがわき出る形のコミュニケーションになるよう自分の対応を変え、会社の活性化と業績アップの両方を手に入れることができた。

 社長が自分を変える合宿。そんなクリエイティブな「社長の時間」。そのベースには、米国の精神科医ウィリアム・グラッサーが唱えた「選択理論心理学」がある。選択理論心理学がベースになって、人も組織も幸せにする「チョイス クオリティマネジメント」のセミナーが今、京都や岡山で人気を呼んでいる。

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