トランプの「ばば抜き」「7並べ」のように、何人かの人でするカードゲームに「アチーバス」というのがある。西部劇の酒場でのポーカーではなく、チームビルディングや、人材開発などのシーンで登場する。

手持ちのカードをペアにしていくところは「ばば抜き」に似ている。しかし、配られたカードの中に「ばば」はいない。そして自分の手札だけでなく、だれかとペアをつくることで自分の手元に7並べのようにカードを揃えていく。ところが、ペアをたくさん作って早く到達した人が「勝ち」というわけではない。

では、誰が勝ち組で、誰が負け組か。

その答えは、「アチーバス ACHIEVUS」というゲームの名前にある。「アチーバス」は、英語の「ACHIEV アチーブ(達成する)」と「US アス(私たち)」をくっつけた造語だ。「US」は、「ME ミー(わたし)」でも「YOU ユー(あなた)」でもない。「US アス(私たち)」としか言いようがない。

これは「ばば抜き」や「7並べ」と似たゲームだろう、と思っていた人は、自分だけが一生懸命ペアを作って早くカードを揃えようとする。カードが揃ってくるとほっとしたりする。その一方、なかなかペアを作れずにカードが揃わない人もいたりする。大きなでこぼこが出来てくる。

ゲームの名前は「アチーバス」なのだ。カンのいい方はもうお気づきだろう。みんなが「アチーブ」。私たちで達成する。そのために、メンバーは何をしたらいいのだろう。

そう、そこにヒントがある。ゲームといっても、達成はあるが、勝ち負けではない世界なのだ。

MEがたくさんいて、アチーブしようとしても、共通行動が取れなかったら「みんなでアチーブ」は難しいかもしれない。

YOUがそれぞれに良かれと思って行動しても、「みんな」というUSの視点からの行動が弱かったらなかなか「みんなでアチーブ」にはなりにくいだろう。

心と行動がしっかりかみ合わないとなかなか「アチーバス」にたどりつけない。
じゃあ、どうしたらいいか。

カードを見て動かしていく目線は、MEでもYOUでもない。MEもYOUも包み込んでいるUSだ。たくさんのMEが一つのUSになって働き出さないと達成できない世界。

やさしさや、気配りだけでは達成できない。1枚また1枚のカードを具体的にやり取りするときに、一人ひとりの手持ちカードに目と心を配り、さらにカードを持っている一人ひとりの思考や行動の癖を具体的にイメージして、想いを重ねた行動が必要となる。深い洞察力も要る。戦略も要る。コミュニケーションが要る。

それらがチームとなって機能しなければ、みんなで達成を共有するアチーバスは難しい。

手でカードを動かしているだけのようで、実は奥が深いゲームなのだ。

カードを繰り、やり取りしながら、頭と心はMEの勝敗をはるかに越えた大きな達成、US=みんなの喜びをイメージするようになる。人間洞察力、人間関係力、人としてのバランス感覚がその中でフルに働く。勝利とは何か。達成とは何か。もうお分かりだろう。

いくら研修で、朝礼で、仲間への思いやりを持て、チームワークが重要だと口をすっぱくしても、人間の組織は、簡単に指示した通りにはならない。

じゃあどうしたらそうなるのか。ゲームをしながら、チームワークを働かせた、チームワークの育つ心の働かせ方をチーム全員が体験することが一番の早道だ。

心の姿は、何百回説明しても伝えられない。その心そのものを、体験してもらったら何も言わなくても伝わる。アチーバスはそういう「心育てのゲーム」なのだ。

いろいろなMEがそれぞれにUSを目指して心を悩ませてもUSの心にはなれない。USという心の働かせ方を実習しないと、USの生き方は分からない。USの目線が一人ひとりのMEやYOUの中で生き生きと躍動を始めたとき、やっとチーム「アチーバス」が生まれる。

思いやりだけでなく、実行動を伴うからこそ他人に対する共感が生まれる。あいつがあれだからチームワークができない、ではない。あいつのあれを予測して俺はどうするか。そうしたらチームが一つになれる。やってみよう。人を責めるのではない。さまざまな違いは違いとして、それに突っかかるのではなく、そんなことが何なのだと、大きなアチーバスを目指して心と行動に工夫を凝らす。

なぜなら、勝ち組と負け組みを生み、自分が勝ち組に入っただけでは「アチーバス」とはならないからだ。

アチーバスのゲームに参加した男性がこうつぶやいた。自分の考え方の癖、人を見る目の癖に気がつきました。○○さんの性格も見えてきました。

一人ひとりが自分自身の姿に気づくこと。そこから生まれる他者への配慮、大きな目標を目指す心の組み立てが「アチーバス」につながる土台となっていく。

「アチーバス」を実現する過程で、参加者の心にたくさんのエネルギーが蓄えられていく。「成功への道」を説いたナポレオン・ヒルの「夢をかなえる17の心の働き」も含まれている。

例えば「同じ夢をもつ仲間」「与える人になる」「まず自分がやる」「気持ちのコントロール」「正しく考える力」「一つのことに集中する」「チームワークを発揮する」「ヒラメキの力」「時間とお金の賢い使い方」…。もっともっといろいろなパワーも含まれている。

「アチーバス」とはうまく付けた名前だ。このゲームを研修に組み込んで、企業や団体の幹部・社員のチームワークを育てあげ、経営数字向上に貢献した人材育成会社がある。エンパワーズ・ing。京都のど真ん中、四条烏丸の少し西にある。

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